「本物よりも出来がいい 安く作るUFO書」
すげ~、この本にUFOの作り方が載ってるんだ
胸がドキドキして、目が点になったのを覚えている
そこで矢吹くんのお父さんにおもいきって、聞いてみた
「矢吹くんのお父さん、UFO作ってるの?」
「・・・」
「空飛べるの?」
「・・・」
全く、耳に届いていないようだ
僕たちは、矢吹くんの顔を見つめた
矢吹くんは顔を横に振った
「今、お父さん都はるみ聞いてるから聞こえないんだよ・・・」
両耳から、垂れ下がるイヤホンコード・・・
友人達と顔を見合わせながら、微笑んだ
バタン!
「ただいま~」
真っ黒な黒髪に銀ブチ眼鏡をかけた痩せた女の人が帰ってきた
矢吹くんがニコッと笑った
「マミー、マミー!友達が遊びに来てるんだ~」
「バシッ!」
一瞬のことで、何が起きたかわからずに
僕たちはジッと、その光景を見つめていた
「お父さんが、UFOやってるときは友達呼ばないで!!」
一同固まった
僕の中で、叩かれた矢吹くんに対しての驚きもあったのだけれど
UFOやってるという言葉に金縛り状態になってしまったのである
もしかしたら、矢吹くん家族は宇宙人だったり・・・
思えば、不思議な事が多かった
どこで、クロマティーの写真を手に入れたんだろ・・・
頭の中がぐるぐる回ってるところへ、都こんぶが目に入った
矢吹マミーがひとりひとりに
「息子と仲良くしてね」と
手を差し伸べて握手を求めてくるのだ
だが、しかし僕は見てしまった
傷ってなんだろう?
深くせつない傷ってなんだろう?
ブロディーの傷より深いよ・・・
白くしなやかな手とは裏腹に
手首には深い傷がたくさん入っていた
都こんぶをもらい、謎を残したまま外に出ることにした
外に出ると黄金色の夕日が僕等を照らしていた
続く・・・