それから、僕と矢吹くんは一緒に行動をすることがなくなった
給食の時間は、相変わらず矢吹くんの写真ネタで盛り上がっていた
「矢沢ってキャロルの前、マッシュルームカットだったんだ」
「ジョニーの実家は喫茶店だったんだ」
そんな話の最中、悲劇が起きた
隣に座っていた高中部屋の息子、どんちゃんに牛乳瓶で殴られてしまったのだ
「メリッ!」
瓶は割れ、頭からこれでもかというくらい血が吹き出していた
先生は、あまりの出来事に椅子から転げ落ちた
口に入れたパンを吐きだし、矢吹くんを抱きかかえ保健室へ行った
顔面蒼白で立ちつくす、どんちゃん
隣の教室へ逃げ込む女子達
僕は、ビックリもしなかった
それどころか、どうなるんだろと胸の高鳴りが止まらなかった
かすかに笑みも浮かべていた
その後、矢吹くんは入院することになり
どんちゃんは、PTAから問題児扱いされ
問題児専門の学校「みんなの輪」に転校することになった
3日程すぎ、事件が忘れさられた放課後
先生から矢吹くんの家に届けて欲しい物があると頼まれた
大き目の封筒で、中は書類のようだった
封筒を受け取り、矢吹くん家に向かった
「リング~に~イナズマは~しり~」
当時、キン肉マンが物凄く流行っていた
「きんに~く~ま~ん ゴーファイト♪」
「ピンポーン」
「・・・」
「ピンポーン」
「・・・」
誰もいないのか・・・
ドアノブに手をかけると、鍵がかかっていないことに気付いた
おそる、おそる
少しだけドアを開ける
「ウーニャン ピーコロ ゴンスケドンタラ」
「マーチャン ナメタラ チンコロ メンメン」
なんの、呪文だ!?
すると、中から銀色の服とヘルメットをかぶった男が立ち上がり
こっちに向かって歩いてきた
「わ~れ~わ~れ~は、アンコロメダ星雲からやってきた、ズッポリ星人だ」
喉仏に水平チョップをしてしゃべってるようだ
すぐに、男の正体がわかった
矢吹くんの、おじさんだ
「あの、先生から、これ渡してくれって頼まれたんだ」
「あ~り~が~と~う」
「こ~れ~か~ら、ヤマト号で~星に~帰る~が見ていくか~」
ついにUFOが見れる、ヤマトの形をしたUFO・・・
誰にも言わない、全世界で謎に包まれているUFOが今見れる
おじさんの動きが俊敏になり、ロボットダンスばりの動きに目が点になった
出発準備が着々と進められ、秒読み1分前になった・・・
続く・・・