築地市場が解体され新たな歴史が始まろうとしている。
戦後間からここを生活の基盤としていた男。
その名を森林の石松と言う。
この石松さんは右目が潰れていて右手の薬指と小指がない。聞くと若かれし頃、九州の愚連隊との抗争で負傷したと言っていた。
しかし実の所、幼い頃に理科の実験でビーカーが破裂したとか…。
おそらく科学者、博士、天才肌なのであろう。
競馬の予想も人とは違う視点で組み立てて行った。
あの大荒れの日経賞を覚えているだろうか?障害帰りりのテンジンショウグンが大穴を開けたレースだ。
森の石松のような力強さではなく、繊細な清々しい空気でまわりの人間を癒す森林の石松さんは、レース前にこう言った。
中山2500Mは先行有利内枠1番!
天に陣取る将軍様で江田が輝き男となる!
なんともシンプルな読みと饒舌な口上。
単勝馬券を厚く買っていてその日の夜は大宴会となった。