トキノミノルは天馬だ。
ダービーを勝つために生まれたのだ。
そして目的を達成し天に帰っていったのだ。
トキノミノルの逸話は数々の出版物にて紹介され競馬ファンならば誰もが感銘を受けたはずだ。
東京競馬場正門を背にし左斜め前に馬霊塔があり、その横に墓石がある。
東京競馬場近くに用事があれば必ず手を合わせに行き、天馬にこう伝える。
「素晴らしい競馬をありがとうございます」
そんな中、不思議なオーラを放つ青年と出会った。
ボサボサの髪の毛、胸にギターがプリントされた穴の空いたTシャツ、ジーンズの両膝が大きく破れよく見ると飛び散った血糊のような赤い物が染み込んでいた。
足をひきずりながら彼はボソボソと口を開いた。
「盗んだバイクで走り出し、熱い缶コーヒーを買いに行く途中、トレーラーに巻き込まれたと」
尾崎豊臭ぷんぷんだなと思いながら、救急車を呼んだ。
名を聞くと「僕の名前はトキノミノル」と言った。
私はその瞬間、天馬の生まれ代わりではないかと感じた。
そんな彼の顔を私はどこかで見た覚えがある。
テレビ?雑誌?
何か分からないが知っている。
しばらくして、アーティストネームで活躍する多才な才能を持つ人物だとわかった。
詳しい事はこれ以上書けないがトキノミノルの名前だけは覚えておいて欲しい。