病的な斉藤さんとの出会いは
確か、毛は生えそろっていたが
大人の自覚が全くない22,3の頃だったと思う
当時、お菓子の製造の仕事をしていたのだが
暮れの繁栄期に短期アルバイトでやってきたのが
斉藤さんなのである
彼女は青白く、やせ細ってて、貞子のような髪型をしてたのが印象的で
昼休みに話すことといえば、めまい、耳鳴り、拒食、引きこもり
過度のストレスで目が見えないと言った
楽しくない話だった
なぜだか、昼休みは一緒に過ごした
そして、何気なく私はこんなことを言った
「デイビッド・バウイのようなロック・スターになりたい」
すると彼女は
「私は人よりも、神経が細くてカミソリのようだけど
かさぶた剥がして、また傷口作ってでもイラストレーターになりたい・・・」
寒気が走ったが・・・
これぞ、彼女流のつらぬきの美学
そして、アルバイト最終日に私にくれた物
それが、これ
鉛筆1本で描かれたデビッド・ボウイ、完成まで1ヶ月かかったそうだ
その後、彼女のやせ細った手で描かれた
新たなキャラクターたちが世界中を羽ばたくことになる
身を削りながらクリエイトする、つらぬきの精神に脱帽!