第一回フェブラリーステークスの勝ち馬、噛み付きウィンディこそシンコウウィンディだ。
口向きが悪く隣の馬に噛み付きにいくほど癖のある馬だった。
トップジョッキー岡部幸雄騎手の手綱さばきが光る高騎乗であった。
この癖のある人気薄の馬に大本命をつけたのが、河原の風来坊こそ河原正気だ。
田原成貴を文字ったと突っ込みをくらいそうだが、多摩川の河原を根城とするこの男は年に1度だけ全財産をかけて大勝負するのだ。
この日の準備は年明けから始まる。
多摩川河川敷から初日の出を拝み、富士山に敬礼を、川の流れに沿ってフェブラリー当日まで缶を拾い巡礼する。
朝日は強いエネルギーを発する。
川の冷水を頭からかぶり東京競馬場へ敬礼。
そしてレース一週間前から断食に入る。
なぜあの日シンコウウィンディに本命をつけたのか聞いてみた?
「信仰心は持った方がいい。自分なりの信仰スタイルを作って信仰ごっこでかまわないから日々のルーティンにしなさい。世の中から石を投げられてでもぶれずに我が道を信じ突き進みなさい」
年に一度きりの大勝負。
日本ダービー、ジャパンカップもなんのそのペリエもルメールもなんのその。
フェブラリーステークスがあればいい。
多摩の河原に信仰予想師
河原正気