この時季になるとあの先輩を思い出す。
いつも無気力で無口でなんとなく影があって、選挙近くになると饒舌になり一票入れてくれと。
そんな事をするから会社でも孤立し一般社会からもどんどん孤立していった。
ある日の事、仕事の鬼、スパルタ鬼軍曹の部長が皆で競馬場に行こうと言い出したのだ。
親睦会という名の部長のお付き合い。
正直、誰一人乗り気でなかったがそこがサラリーマンの辛いところ。
そして運命の日曜日、事件が起きた。
部長が東京のメインはなんだ?と
例の先輩が「聖教新聞杯です」と間違えて答えてしまったのです。
部長は笑いもせず、怒りもせず、黙々と予想に打ち込んでいました。
私たちも黙々と予想に励みました。
毎年、東京新聞杯が近付くと若かれしあの日を思い出してしまいます。